昨年は思いがけず、コロナ渦中における特別なクリスマスを過ごしました。
あれから一年。
再び関西学院高等部のM先生より「今年も弾いてほしい」との連絡。
今週、まさかの『2度目の特別なクリスマス』となりました。
高等部全生徒のうち2,3年生は既に、昨年チェロとのデュオを聴いているから…という理由で、今回はこのところ八面六臂の活躍でご多忙なヴィオラ奏者の中田美穂さんと共に。
数曲の礼拝音楽に加え、この一年、様々にままならない日々を過ごして来た若い学生さんたちのために特別さんびとして演奏したのは、シューベルトの歌曲『白鳥の歌』より第3曲「春の憧れ Frühlingssehnsucht 」のヴィオラ&ピアノ版。
春の憧れ
さわやかに吹き、ざわめく風よ
大気にみなぎる花の薫りよ!
おまえたちの挨拶の、なんとうれしく思われること!
この脈打つ胸におまえたちは何をしたのか?
風に乗っておまえたちについて行きたい!
どこへか? どこへか?
…中略…
絶えることのない憧れ! 戦い求める心よ
いつまでも涙と、嘆き、苦しみばかりなのか?
僕にも衝動の高まりが感じられる!
この激しい欲求を静めてくれるのは誰なのだろう?
あなただけがこの胸に春を解き放ってくださるのです
あなただけが! あなただけが!
L.レルシュタープ
(訳:石井不二雄)
ドイツロマン派を生きたシューベルトにとって”さすらい人”は、生涯のテーマでもありました。
この作品もまた、春への憧憬の中に、さすらう若者の活き活きとした魂の躍動と、内に秘めた孤独とが、不思議に美しく共存・共鳴しています。
補足
礼拝のメッセージにM先生が選ばれた聖句は、旧約聖書コヘレトの言葉・第3章1〜11節。
それに関連づけて、今年3月末にコロナに倒れ、紆余曲折を経て今も懸命にリハビリを続けるひとりの患者について克明に語られました。
メッセージの題目は【永遠を思う心】でした。
くしくも昨年、先が見えぬ中で書いた記事は同じくコヘレトの言葉でした。